ごあいさつ

理事長

 皆様には、平素よりきのくに信用金庫をお引き立ていただき、厚くお礼申し上げます。ここに第59期の事業概況についてご報告申し上げます。

 令和4年度のわが国経済は、長引くコロナ禍に加え、ロシアによるウクライナ侵攻を起因としたエネルギー資源等の供給不安や円安進行による物価上昇の影響により、一層不透明感が高まった一年となりました。米国では急速な金融引き締めに端を発した金融システム不安が金融機関の経営破綻を招くなど、世界経済の収縮が懸念され、我々を取り巻く金融環境は予断を許さない状況が続いています。

 このような状況の中、地域経済に目を向けると、コロナ新規感染者数の減少とともに政府の旅行支援キャンペーンの影響もあり観光客は戻りつつあり、観光関連産業は徐々に業況が好転しています。景気回復に向け、和歌山県では2023年から関西万博が開催される2025年までの3年間を「ダイヤモンドイヤー」と位置付け、観光需要の取り込みを進めるなど、アフターコロナにおける経済活動の持ち直しに期待が持たれます。一方で、少子高齢化による人口減少や事業の後継者不足といった従来の構造的課題に加え、あらゆるモノの価格高騰による社会生活全般への影響が懸念されます。

 このような情勢の中、当期は、中期経営計画「きのくにValue Up 2022」を新たにスタートさせ、「地域やお客さまの課題にしっかり向き合い、共に乗り越えていくことで地域やお客さまの価値を高める」を基本ビジョンに、信用金庫としての真価を発揮すべく活動してまいりました。長引くコロナ禍や円安・物価高によって厳しい状況に置かれている経営者の皆さまと対話を繰り返し、業況把握と資金繰り支援に努めると共に、全国の信金ネットワークを通じた販路拡大や様々なビジネスマッチングなど、お客さま一人ひとりの課題解決に向けた支援に注力してまいりました。

 その結果、預金は期末残高1兆1,769億円、貸出金は期末残高4,068億円となりました。収益面につきましては、本来業務の収益を示す業務純益は14億15百万円となり、当期純利益でも12億円を計上することができました。自己資本比率は15.98%と引き続き高い健全性を維持することができました。

 当金庫は本年11月に発足30周年を迎えます。発足以来、経営理念である「お客さま志向」「地域密着」「堅実経営」を着実に実践し、地域やお客さまの期待に応えるために様々な施策に取り組んでまいりました。地域経済を取り巻く環境が一層複雑化し、お客さまのニーズも多様化・高度化する中、地域金融機関として、お客さま一人ひとりのニーズに即した商品やサービスの提供に努めるとともに、社会情勢の変化に応じた人財育成やDX推進に真摯に努めてまいります。

 これからも皆様のご期待にお応えできますよう役職員一同努力を重ねてまいりますので、尚一層のご支援とご愛顧を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

令和5年6月
理事長 田谷 節朗