せきしんについて

理事長メッセージ

理事長 石竹 智範

皆さまには、平素より、私ども関信用金庫に対しまして、格別のご支援とご愛顧を賜り、まことに有難うございます。

本年も当金庫に対するご理解を一層深めていただくために、「せきしんの現況 2024」を作成いたしました。本誌により地元金融機関としての「せきしん」をさらに身近に感じていただければ幸いに存じます。

令和5年度は、令和2年以降4年間にわたり社会が新型コロナウイルスの脅威に晒されて来ましたが、新型コロナウイルスが変異を繰り返し弱毒化した事、ワクチン接種が国内で進んだ事から政府は昨年5月に新型コロナウイルス感染症の位置づけを「5類感染症」に変更し、 ようやく行動制限がない生活を取り戻す状況になってきました。一般社会においては、人の流れが急速に正常化に向かい、旅行や外食など非製造業の分野において、これまでの逸失利益を取り戻そうと活況が続いています。日銀短観においても、業況判断指数の改善度合いは 製造業より非製造業の方が顕著に現れています。しかし、この分野の最大の障害になっているのは、コロナ禍で解雇した従業員を再び呼び戻すことができず人件費が高騰し、人員が確保できていないことです。円安環境もあって、訪日外国人(インバウンド)の流入人口はコ ロナ前に回復しており、全国の観光地は賑わっていますが、本当に業況の改善に結びついているのかはまだ確信が持てない状況であります。

一方製造業においては、コロナ禍から先行して業況が改善していましたが、ロシア・ウクライナ紛争に端を発した資源価格の高騰や半導体の供給態勢の乱れから計画通りに設備投資が進まず、業況は低調に推移しています。

製造業においても人手不足は深刻で、働き方改革による政府が求める賃上げは企業のコストアップに繋がり、特に中小・零細企業では価格転嫁が進んでおらず、賃上げは実施しづらい状況にあります。

海外に目を転ずれば、米国においては2年間にわたるFRBの利上げが漸く物価の上昇にブレーキを掛け始め経済に後退懸念が出てきたため、本年は2回から3回程度の利下げが予想されています。欧州も物価上昇に打ち止め感が出ており同様な金融政策に転ずるものと思われます。

わが国の金融政策においては、昨年日銀総裁が植田和男氏に交代してからもマイナス金利政策は維持されていましたが、本年3月の金融政策決定会合において2024年の賃上げが昨年を大幅に上回り、2%の物価目標を持続的・安定的に達成できる環境が整ったと判断し、マイナス 金利政策が解除されました。日銀が政策金利を引き上げるのは2007年2月以来17年振りとなります。金融政策は大規模緩和から正常化へと向かい、本年からはいよいよ「金利のある世界」に突入します。預金金利についてはマイナス金利政策解除後、早速引き上げられており、 貸出金金利についても、今後大手行から順に短プラ・長プラを引き上げる動きが出るものと思われます。

産業界においては、脱炭素社会の実現に向けた取組み等SDGsへの関心が高まっています。企業にもサスティナブルな経営が求められており、経済的な利益を追求するだけでなく、環境や社会に対しても責任を負い、持続可能な発展を目指さなければいけません。中小企業において も早期にこの課題に取り組んでいかなければ、競争力の低下を招きかねません。大手企業が地方に拠点を求める場合にも、再生エネルギーが当地で利用可能かどうかが選択の大きな判断要素になってきています。当金庫は、二酸化炭素排出量の測定支援やセミナーの開催支援等、お客 さまに有益となる数々の団体と業務提携をしており、本年もこの分野を中心に支援活動をより推進していく所存です。また、重点課題の一つとしてマネロン・テロ資金供与対策に向けた取組みについても、本年も同様に注力していきたいと思います。

令和6年7月

関 信用金庫

理事長 石竹 智範

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