
今から15年前。私は、桜ヶ丘支店で電子部品の製造を営むお客さまを担当していました。設備の刷新・メンテナンスで常に大きな投資が必要となる。リーマンショックで厳しい経営環境にさらされている。そうした状況の中で、経営改善の陣頭指揮を執っていた社長が急逝。経理を担っていた奥さまと、役員として会社を支えていた息子さんが経営を引継ぐこととなったのです。
職人肌で口下手。でも、人情に厚い。脳裏に浮かんだのは、足しげく通い詰める私を可愛がってくれた社長の姿でした。そのご恩に報いたい。残されたお二人を支えたい。そんな想いに突き動かされた私は、金融機関としてできることを越えて、お客さまをサポートしていきました。事業承継をスムーズに完遂し、日常を取り戻す。経営改善に向けた支援を行い、未来への展望をクリアにする。当時はまだ若く、無我夢中でしたが、お客さまからいただいた「ありがとう」という言葉に、ホッと胸をなで下ろしたことを覚えています。