地域密着型金融推進計画(新アクションプログラム)について

1.計画期間

平成17年4月から平成19年3月まで(2年間)

2.経営理念

    (1)地域貢献度ナンバーワンを目指します

地域の中小企業の支援・育成や個人取引の強化を通じて、地域社会の再生・活性化を図っていくことにより、地域社会に確固たる基盤を築き、頼りになる金庫として地域貢献度ナンバーワンを目指します。

    (2)顧客満足度ナンバーワンを目指します

タイムリーな情報や商品の提供等、お客様のニーズに迅速かつ適切に対応していくことにより、取引していて良かったといわれる金庫として顧客満足度ナンバーワンを目指します。

    (3)健全経営ナンバーワンを目指します

経営基盤を拡大しつつ、各種リスク管理体制の強化や更なる経営の効率化を推し進め、様々な変革に対応できる強靭な経営体質を構築することにより、安心して取引のできる金庫として健全経営ナンバーワンを目指します。

    (4)人材の豊かさナンバーワンを目指します

教育訓練の強化により人材の育成に努め、将来の発展を担う人材の豊かさでナンバーワンを目指します。また、活力に満ちた働きがいのある金庫を目指します。

3.基本方針

中期経営計画(平成16年4月〜平成19年3月)に沿って、地域金融機関としての責務を今後も果たし続けていくために、「リレーションシップバンキングの推進による地域貢献活動の強化」「強靭な経営体質の構築」等に取組んでまいりました。今回の推進計画ではこれをベースとして、@事業再生・中小企業金融の円滑化、A経営力の強化、およびB地域の利用者の利便性向上を図り、お客様に心から満足していただける金融サービスの提供に努め、活力ある地域社会の実現を目指します。

4.推進計画の具体的施策

    (1)事業再生・中小企業金融の円滑化

@ 集中改善期間(平成15年度〜16年度)における取組みの成果等


創業・新事業支援機能等の強化として、新商品の開発や既存商品の見直し等を実施しました。また、営業店における創業支援窓口の開設、国民生活金融公庫との業務提携、「あいちベンチャーファンド」への出資、一宮商工会議所をはじめとする近隣商工会議所との提携による特別融資制度の取扱い等を実施し、支援機能を強化しました。


取引先企業に対する経営相談・支援機能の強化として、企業経営支援部を新設するとともに、営業店に経営改善支援責任者と担当者を配置しました。企業経営支援制度に基づく企業経営支援先として73先を選定し、企業経営支援部と営業店の経営改善指導により、16年度は28先のランクアップに結び付きました。また、情報を提供する仕組みとして、ビジネスマッチングの開催や若手経営者を対象とする次世代クラブを創設し、お客様同士の情報や技術を交換する場を提供しました。


早期事業再生に向けた取組みとして、「愛知中小企業再生ファンド」へ出資しました。また、愛知県中小企業再生支援協議会等と情報交換を積極的に行い、連携の強化を図りました。


新しい中小企業金融への取組みの強化として、シンジケートローンや私募債等を取扱いました。

      

顧客への説明態勢の整備、相談、苦情処理機能の強化として、与信取引にかかる説明義務の規程・要領を制定するとともに、Q&Aを作成し適切な取扱いを徹底しました。また、苦情事例集を作成し説明会を開催するなど、苦情の発生防止に努めました。


人材の育成として、業界団体の主催する講座へ延べ23名の職員を派遣し、その参加者を講師として169名の職員に庫内研修を実施し、経営支援能力等の向上を図りました。また、愛知県信用保証協会、日本政策投資銀行、国民生活金融公庫の各担当者による研修会を開催し、積極的に目利き力の養成を図りました。


A 要請事項に対する今後の取組方針等


創業・新事業支援機能等の強化として、業界団体の主催する目利き力養成講座への派遣や庫内研修の実施、営業店の融資担当者に対する審査・監査トレイニーの実施、および企業経営支援部員と営業店の経営支援担当者との帯同訪問等により、「目利き」能力の向上を図ります。そのほか審査部には、融資ウェイトの大きい3業種に対する専任の審査担当者を配置し、融資審査態勢を一層強化します。また、政府系金融機関や中小企業支援センター等外部機関との業務連携の強化、TKC中部会 の税理士との勉強会の実施、および県保証業務研修会の開催等により、各種ノウハウを蓄積し事業展開に資する情報をお客様に提供します。さらに、日本政策投資銀行等の政府系金融機関との連携強化や、創業支援に係る休日相談窓口の開設により、創業・新事業の成長段階に応じた適切な支援を行います。


取引先企業に対する経営相談・支援機能の強化として、中小企業支援センターや中小企業基盤整備機構等が発信する経営支援情報の提供、次世代クラブにおける経営セミナーの定期的開催、ビジネスマッチングフェアの開催、TKC中部会の税理士との勉強会の実施、および県保証業務研修会の開催等により、中小企業に対するコンサルティング機能および情報提供機能の一層の強化を図ります。また、取引先企業に対する融資取組方針確認のための営業店ヒアリングの実施や、要注意先等に 対するキャッシュフローのモニタリング強化等により、不良債権新規発生の防止に取組みます。さらに、経営改善支援先に対する改善計画立案等の支援により、要注意先債権等の健全債権化に向けた取組みを一層強化し、年10%程度の経営改善支援先のランクアップを目指します。ランクアップ先数および具体的事例は、ホームページ等を通じて公表します。


事業再生に向けた積極的取組みとして、愛知県中小企業再生支援協議会等との再生のための相談や情報交換等の実施、企業経営支援部員と営業店の経営支援担当者との帯同訪問等により、再生ノウハウの共有化を図ります。また、中小企業の過剰債務の解消や社会のニーズの変化に対応した事業の再構築など事業再生に向けた取組みに努めます。再生支援実績や再生ノウハウは、守秘義務等に配慮しつつホームページ等を通じて公表します。


担保・保証に過度に依存しない融資の推進等として、ローンレビュー(貸出後の業況把握)の徹底、信用リスクデータベース活用によるリスクに見合った金利設定を行うための態勢整備や貸出金ポートフォリオの適正化等により、企業の将来性や技術力を的確に評価するための取組みを強化します。また、「民法の一部を改正する法律」の施行に伴い、既存の包括根保証契約の限定根保証契約への変更手続きを促進するとともに、第三者保証の利用に当たっては、資産状況や収入等を勘案した うえで保証能力を判断し、過度なものとならないよう対応します。中小企業の資金調達手法の多様化等については、ふれあい事業者ローン、創業支援ローン、TKC経営者ローン等の推進態勢の強化、商工会議所提携ふれあい事業者ローンの提携先の拡大、および無担保事業者ローンの取扱開始等により、お客様のニーズに合わせた融資商品の提供に努めます。


お客様への説明態勢の整備、相談苦情処理機能の強化として、与信取引に係る説明要領、損害保険募集事務取扱要領、顧客説明マニュアル等の内部規程の整備を図るとともに、適切な説明とコンプライアンス重視の取組姿勢の徹底を図るため、研修や各部店単位の勉強会の実施等により、営業店における実効性を確保します。また、苦情事例集の追録や苦情事例発表会の定期的開催により、苦情実例の分析・還元を行い、相談苦情処理機能を強化します。


事業再生・中小企業金融の円滑化に向けた人材の育成については、業界団体の主催する各種講座への派遣や庫内研修の実施、営業店の融資担当者に対する審査・監査トレイニーの実施、TKC中部会の税理士との勉強会の実施、県保証業務研修会の開催、外部資格取得の奨励および企業経営支援部員と営業店の経営支援担当者との帯同訪問等により、「目利き」能力や経営支援能力の向上を図ります。


    (2)経営力の強化

@ 集中改善期間(平成15年度〜16年度)における取組みの成果等


資産査定、信用リスク管理の強化として、「金融検査マニュアル」等の改正事項を当金庫の資産査定要領・マニュアルに反映させるとともに、査定担当者に対する説明会や勉強会を開催し、正確な査定を行いました。


収益管理態勢の整備と収益力の向上として、企業格付の実施率の向上を目指してデータを集積しました。企業格付と自己査定債務者区分との整合率は、80%を超え高い精度となっています。


ガバナンスの強化として、金庫の経営状況の開示を充実するため15年度から半期開示を実施しました。また、総代会の仕組み、総代候補者選考基準、総代の選任方法等をディスクロージャー誌に掲載し、総代選任手続きの透明化を図りました。さらに、総代以外の会員の意見を総代会に反映させる仕組みとして、一般の会員を構成員とするモニター会議を開催しました。


法令等遵守(コンプライアンス)態勢の強化として、コンプライアンス臨店指導要領等の制定、コンプライアンスに関する研修の実施、およびお客様との信頼関係を損なう問題の発生を防止するための点検評価の実施等により、法令遵守の周知徹底を図りました。また、17年3月に、金融改革プログラムへの対応等を図るため、コンプライアンス主管部として新たに法務部を設置しました。


A 要請事項に対する今後の取組方針等


リスク管理態勢の充実として、バーゼルU(新しい自己資本比率規制)の導入に備え、信用リスクは標準的手法、オペレーショナルリスクは基礎的手法を検討し、自己資本比率の算出方法の精緻化に取組みます。また、信用リスク量および金利リスク量の把握、並びにその管理方法を検討するとともに、ALM委員会や総合リスク管理委員会において、リスク管理の高度化に向けた取組みを把握・管理します。情報開示の拡充については、バーゼルUの情報開示に関する全信協の検討の動向も 踏まえ、適切な態勢整備を図ります。


収益管理態勢の整備と収益力の向上として、債務者区分と内部格付の不整合先についての検証や不整合要因の分析、および個人事業主の格付制度構築に向けた態勢整備等により、債務者区分と整合的な内部格付制度の充実を図ります。また、信用コスト算出の基になるデフォルト率の適用基準を定め、リスクに見合った金利設定を行うための体制を構築します。


ガバナンスの強化として、地域のお客様や地方公共団体等に当金庫の経営内容等をより理解していただくため、半期開示を継続し、わかりやすい情報を提供するとともに、経営状況および地域貢献にかかる開示項目の更なる充実に取組みます。また、モニター会議の開催、役員による主要取引先への個別訪問、および総代会の仕組みのディスクローズ等により、総代会の機能強化を図ります。


法令等遵守(コンプライアンス)態勢の強化として、コンプライアンス担当者等を対象とした研修の実施、コンプライアンス・スケジュールに基づく勉強会の開催、コンプライアンス・チェックリストによる点検の実施、および証券業務や外為業務のコンプライアンスに関するQ&Aの作成により、営業店に対する法令遵守状況の点検強化等を図ります。また、内部監査における監査項目の見直しと点検の強化、および情報漏えい防止システムの導入等により、適切な個人情報の管理と取扱いの確保を図ります。


ITの戦略的活用として、共同事務センター等とも連携し、リスク管理の高度化、WEBによる情報提供、販売チャネルの多様化、新渉外支援システムの全店導入、顧客データベースの機能拡充、および庫内LANの活用による帳票の電子化等に取組みます。また、取引先企業に対するホームページの作成支援も行います。


市場リスク管理態勢等の強化として、有価証券のリスクに係る管理資料の見直しや整備を図ります。また、信金中央金庫が提供する信用金庫向け商品による運用を、今後も続けてまいります。


以上の要請事項等に取組むことで経営力の一層の強化を図り、18年度末までに通期平残の預金パーヘッド10億円以上、当期純利益10億円以上を目指します。


    (3)地域の利用者の利便性向上

@ 集中改善期間(平成15年度〜16年度)における取組みの成果等


地域貢献等に関する情報開示として、業界団体から示された地域貢献に関する開示方針を踏まえ、金融業務を通じた経済的貢献をはじめとする地域貢献活動を、ホームページやディスロージャー誌等に公表し、内容の充実も図りました。景況レポートの発行にあたっては、調査先を500先から800先に拡大する等の見直しを行い、より精度の高い地域経営情報の提供に努めました。また、役員と総代との懇談会の実施や、役員による主要取引先への決算等の説明により、積極的にお客様と の相互理解を深めました。


A 要請事項に対する今後の取組方針等


地域貢献に関する情報開示として、業界団体から示された開示項目も踏まえ、地域のお客様から調達した預金が、地域の中小企業に対しどのように供給されているか、また、地域のためにどのように活かされているか等について、より分かりやすい情報となるよう努めます。また、営業店の窓口、渉外担当者および本部のお客様相談窓口等へのお客様からの質問や相談等について、回答事例を作成しディスクロージャー誌やホームページ等で公表することにより、充実した分かりやすい情報開示を推進します。


地域の利用者の満足度を重視した金融機関経営の確立として、利用者満足度アンケート調査を実施し、お客様のご意見を業務やサービス等の改善に反映するとともに、その結果をホームページ等に公表します。また、創業支援ローン、ふれあい事業者ローン、TKC経営者ローン等の取扱い、および新商品の開発等により、お客様の利便性や満足度の向上を図ります。さらに、偽造・盗難キャッシュカードへの対応、預金口座不正利用防止、振り込め詐欺防止、およびスパイウェアによる被害 防止への対応を図ります。


地域再生推進のための各種施策との連携等として、ビジネスマッチングフェアや次世代クラブの開催による企業活動の活性化、一宮市をはじめとする近隣の商工会議所との提携による特別融資制度の取扱い等により、地域の活性化に向けた取組みを推進します。また、金融業務を通じた経済的貢献や社会的、文化的地域貢献活動を引き続き行うことにより、お客様とのコミュニケーションを強化するとともに地域の発展に尽くしてまいります。