経営情報
ごあいさつ
理事長 田村 博信
皆さまには、平素より格別のご愛顧を賜り、誠にありがとうございます。
2023年度の日本経済は、新型コロナウイルス感染症の法令上の位置づけが「2類」から「5類」に引き下げられたことにより、感染者や濃厚接触者の行動制限が緩和され、感染症対策が個人や企業の自主判断に委ねられたことで、徐々に社会経済活動の正常化が進みました。特に、甚大な影響を受けた飲食業や観光業などを中心に、国内のサービス消費や訪日客の増加によるインバウンド消費の回復に伴い、足元の景気は緩やかな持ち直しの動きが続いています。
世界経済に目を向けると、ウクライナやパレスチナを巡る地政学リスクの増大や、欧米の中央銀行の金融引締めに伴う円安の長期化など、グローバルな政治経済情勢が資源・穀物価格の上昇圧力となり、当地においても輸入物価の上昇等が、お取引先中小企業の業績回復の重荷となっています。
地域経済に目を向けると、都市部への人口流出による人口減少や高齢化の進展といった従来からの構造的問題に加え、ゼロゼロ融資の返済の本格化や、深刻な人手不足への対応、更には脱炭素社会の実現に向けた取組みなど、対処すべき課題が山積しており、依然として予断を許さない状況が続いています。
国内の金融面を見ると、欧米各国ではインフレ抑制のための金融引締め政策から緩和へと舵が切られようとしている中にあって、日本銀行は2024年3月に開催された金融政策決定会合において、長期金利を0%程度に誘導する長短金利操作(YCC、イールドカーブコントロール)を17年ぶりに撤廃し、11年続いてきた異例の金融緩和の正常化に向け、大きな転換点を迎えました。これにより、メガバンクに続き地方銀行、信用金庫においても預金金利の引き上げが始まり、今後の金融政策次第では更なる市場金利の上昇が想定されるなど、金利のある世界への転換により、金融機関の収益環境の変化が加速することが予想されます。
コロナ禍も落ち着き、徐々に正常化に向けた動きが見られ始めましたが、本格的な景気回復までには時間を要することから、引き続きお取引先の資金繰り支援や、IT化のお手伝い等の本業支援などの金融・非金融両面の支援に取り組んでまいりました。また、個人のお客さまについては、個々のライフサイクルに応じたニーズへの対応としてWEB完結ローンの拡充や、キャンペーン定期の発売など、様々な金融サービスの提供に積極的に取り組んでまいりました。
業績につきましては、預金残高は1,949億45百万円、貸出金残高は1,041億25百万円となり、収益面ではコア業務純益は8億40百万円、当期純利益は1億29百万円を確保することができました。これもひとえに皆さまのご支援の賜と、心より感謝申し上げます。
2024年度は、新3か年計画「未来へつなぐ変革への挑戦」のスタートの年です。本3か年計画においては、「持続可能なビジネスモデル」の構築に向け、安定したコア業務純益の確保を目指した収益構造の確立を最重要課題とし、その実現に向けて積極的に取り組んでまいります。
今後とも、一層のご支援、お引き立てを賜りますようお願い申し上げます。
2024年7月