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アルプス中央信用金庫

理事長あいさつ

理事長写真  会員の皆様には、益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。
 平素より格別なるご高配を賜り心より厚くお礼申し上げます。
 ここに第72期の事業概況並びに決算状況をご報告申し上げるにあたり、一言ご挨拶申し上げます。
 2022年度の我が国経済は、新型コロナウイルス感染症が第8波に及ぶなど先行きを見通しにくい状況にありましたが、政府による全国旅行支援などの対策が奏功し、長く苦境に置かれてきた飲食、宿泊、観光、交通などの業種にとっては明るい兆しが見えはじめた一年となりました。しかしながら、これまで比較的堅調に推移してきた製造業や建設土木業などにおいては、国際的なサプライチェーンの混乱や労働力調達難に加えて、資源エネルギー価格の高騰や円安の影響を受けて多くの企業が仕入コストの増加に直面することとなりました。
 このような傾向は上伊那地域でも認められ、統計的に見れば、人流は回復傾向にあり地区内企業の業況も徐々に回復する傾向を示してきましたが、原材料高や電気料金の値上げなどの影響が表面化し、製造業を中心に景況感が悪化しつつあります。今後、新型コロナウイルス感染症対策で供給された政策資金の償還が本格化する中で、収益面や資金繰りに不安を抱える皆さまも多いことと存じます。国際情勢が早く落ち着きを取り戻し、我が国や上伊那地域の経済の先行き不透明感を払拭できる日が来ることを祈るばかりです。
 国際情勢の混乱は、金融市場にも大きな影響を与えました。欧米各国では、急速に進むインフレを抑制するために相次いで金融引き締め政策に転じ、海外金利は大きく上昇しました。内外金利格差の拡大は、低金利政策を続ける日本市場にも影響を及ぼし、円安が進行し国内金利も緩やかに上昇しました。金利の急上昇は、貸出金利の高騰や金融資産の価格下落などにも繋がります。
 当金庫の経営においても、有価証券評価損が拡大するなど新たな課題が表面化しました。日本銀行では市場の混乱を避けるべく時間を掛けた調整を進めているところですが、依然として予断を許さない状況が続いています。
 こうした状況下において、当金庫では「地域社会の全企業、全生活者の繁栄のために心から奉仕する」基本方針の下、お取引先の資金繰り支援、経営改善支援はもとより、本業支援や創業支援、資産形成等お客様の幸せや喜びの実現のために取り組んで参りました。具体的には、企業支援室の担当者を拠点店舗に配置するエリアマネージャー制を導入し、お取引先の事業性取引にかかる経営サポートや資金繰り支援の充実を図りました。また、個人のお取引先に対する適時適切なサポートの充実を目的に、お客様の資産形成をお手伝いするマネーアドバイザーの新設や、ローンセンターの拡充と休日営業の強化などにも取組みました。
 その結果、業容面におきましては、預金積金は、個人・法人ともに堅調に推移して29億円増加の3,409億円になりました。一方、貸出金は、9億円増加の1,350億円となりました。
 業績面におきましては、基礎的な収益であるコア業務純益(投資信託解約益を除く)は2億70百万円まで改善し、その収益をもとに有価証券評価損や不良債権の圧縮などを進めつつ、当期純利益として1億59百万円を確保し、コア自己資本額は96百万円増加、単体自己資本比率は10.75%となりました。
 内外金利の上昇等に伴って、有価証券評価損が大きく増加しご心配をお掛けしているところです。当金庫では、原則として有価証券を時価評価する方針で会計を行っていますが、昨今のような金利上昇局面においては、利率の低い債券の現時点での評価が目減りしてしまいます。しかし、国債などの価値は満期償還に向けて自然に回復していくものであるため、評価損の水準も次第に改善して参ります。引き続き運用資産の管理に万全を期して参りますので、何卒ご安心をいただければと存じます。
 「地域が元気になり、職員も幸せになり、結果として当金庫の存在価値が高まること」が私の信用金庫経営の原点であります。今後も引き続き、お客様視点でスピード感を持った課題解決支援を進め、お客様のライフスタイルに合致した商品、情報等を積極的に提案・提供し、地域を元気にして参りたいと考えています。
 2023年度は、守りと攻めの両面にアグレッシブに取り組む年として、ポストコロナ時代の地域経済の力強い回復に向けて「Face To Face」でお客様と真摯に向き合い、地域経済の発展・繁栄に向けて役職員一同全力を挙げて取り組んで参ります。
 何卒、私どもアルプス中央信用金庫に倍旧のご愛顧とお引き立てを賜りますようお願い申し上げます。

 

理事長名

2023年7月
理事長