中小企業景気動向調査レポート[令和5年12月度調査(12/1~12/7実施)]
~令和5年10月~12月実績と令和6年1月~3月予想~
結果の要旨
全体
・10月~12月期においては、前期(7~9月)から業況、売上額、収益いずれのD.I値も改善した。
・経営者の業況感を示す「当期業況判断D.I」については、新型コロナウィルス感染拡大によりマイナス値に転じた令和2年3月以来、約4年ぶりにプラス値に転じた。
・来期予測(1月~3月)では、業況、売上額、収益いずれのD.I値も悪化すると予測された。
業種別
・業況、売上額、収益すべてのD.I値が前期より最も改善したのは「卸売業」であった。(次いで製造業)
・来期は、不動産業を除くすべての業種で業況、売上額、収益が悪化すると予測された。
回答企業数
製造業 | サービス業 | 卸売業 | 建設業 | 小売業 | 不動産業 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|
611 | 656 | 125 | 484 | 224 | 90 | 2,190 |
①全体の景況 <建設業>
当期業況判断D.I.
製造業 | サービス業 | 卸売業 | 建設業 | 小売業 | 不動産業 | 全体 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
R5/9 | -7.1 | 4.5 | -5.6 | 2.8 | -6.3 | 4.5 | -0.8 |
R5/12 | -2.6 | 6.3 | -0.8 | 5.4 | -2.2 | 4.4 | 2.2 |
R6/3 予測 | -3.8 | 5.0 | -0.8 | 3.7 | -4.5 | 5.6 | 1.0 |
当期売上額判断D.I.
製造業 | サービス業 | 卸売業 | 建設業 | 小売業 | 不動産業 | 全体 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
R5/9 | 0.8 | 12.4 | 0.8 | 5.9 | 8.1 | 4.5 | 6.3 |
R5/12 | 10.3 | 13.4 | 15.2 | 10.7 | 9.4 | 7.8 | 11.4 |
R6/3 予測 | 2.8 | 8.1 | 4.8 | 7.4 | 0.9 | 6.7 | 5.5 |
当期収益判断D.I.
製造業 | サービス業 | 卸売業 | 建設業 | 小売業 | 不動産業 | 全体 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
R5/9 | -3.6 | 7.2 | -7.3 | 1.9 | 3.6 | 4.5 | 1.7 |
R5/12 | 7.0 | 9.0 | 5.6 | 7.0 | 5.8 | 5.6 | 7.4 |
R6/3 予測 | 0.5 | 5.6 | 1.6 | 4.1 | -0.4 | 5.6 | 3.0 |
【10月~12月実績】
・当期業況判断D.I.は2.2(前期比+3.0)、当期売上額判断D.I.は11.4(同+5.1)、当期収益判断D.I.は7.4(同+5.7)といずれも改善した。
【1月~3月予想】
・業況判断D.I.は1.0(当期比-1.2)、売上額判断D.I.は5.5(同-5.9)、収益判断D.I.は3.0(同-4.4)といずれも悪化する予測となった。
*D.I.は「増加」(上昇)したとする企業が全体に占める割合から、「減少」(下降)したとする割合を引いて算出。
②業種別の景況
<製造業>
製造業 | 業況判断 D.I. |
売上額 判断D.I. |
収益判断 D.I. |
---|---|---|---|
R5/9 | -7.1 | 0.8 | -3.6 |
R5/12 | -2.6 | 10.3 | 7.0 |
R6/3 予測 | -3.8 | 2.8 | 0.5 |
・当期業況判断D.I.は▲2.6(前期比+4.5)、当期売上額判断D.I.は10.3(同+9.5)、当期収益判断D.I.は7.0(同+10.6)といずれも改善した。
・来期予想は、業況判断D.I.は▲3.8(当期比-1.2)、売上額判断D.I.は2.8(同-7.5)、収益判断D.I.は0.5(同-6.5)といずれも悪化すると予測された。
・経営上の問題点として”売上の停滞・減少”を挙げる企業が最も多く44.5%、次いで”原材料高”を挙げる企業が26.8%、そして”利幅の縮小”を挙げる企業が18.0%であった。
・当面の重点経営施策として“ 販路を広げる”を挙げる企業が最も多く65.0%、次いで“経費を節減する”を挙げる企業が57.6%、そして“人材を確保する”を挙げる企業が12.6%であった。
・来期予想は、業況判断D.I.は▲3.8(当期比-1.2)、売上額判断D.I.は2.8(同-7.5)、収益判断D.I.は0.5(同-6.5)といずれも悪化すると予測された。
・経営上の問題点として”売上の停滞・減少”を挙げる企業が最も多く44.5%、次いで”原材料高”を挙げる企業が26.8%、そして”利幅の縮小”を挙げる企業が18.0%であった。
・当面の重点経営施策として“ 販路を広げる”を挙げる企業が最も多く65.0%、次いで“経費を節減する”を挙げる企業が57.6%、そして“人材を確保する”を挙げる企業が12.6%であった。
<サービス業>
サービス業 | 業況判断 D.I. |
売上額 判断D.I. |
収益判断 D.I. |
---|---|---|---|
R5/9 | 4.5 | 12.4 | 7.2 |
R5/12 | 6.3 | 13.4 | 9.0 |
R6/3 予測 | 5.0 | 8.1 | 5.6 |
・当期業況判断D.I.は6.3(前期比+1.8)、当期売上額判断D.I.は13.4(同+1.0)、当期収益判断D.I.は9.0(同+1.8)といずれも改善した。
・来期予想は、業況判断D.I.は5.0(当期比-1.3)、売上額判断D.I.は8.1(同-5.3)、収益判断D.I.は5.6(同-3.4)といずれも悪化すると予測された。
・経営上の問題点として”売上の停滞・減少”を挙げる企業が最も多く27.1%、次いで”同業者間の競争の激化”を挙げる企業が25.2%、そして”人手不足”を挙げる企業が22.4%であった。
・当面の重点経営施策としては“販路を広げる”を挙げる企業が最も多く45.3%、次いで”経費を節減する”を挙げる企業が43.9%、そして“宣伝・広告を強化する”を挙げる企業が21.0%であった。
・来期予想は、業況判断D.I.は5.0(当期比-1.3)、売上額判断D.I.は8.1(同-5.3)、収益判断D.I.は5.6(同-3.4)といずれも悪化すると予測された。
・経営上の問題点として”売上の停滞・減少”を挙げる企業が最も多く27.1%、次いで”同業者間の競争の激化”を挙げる企業が25.2%、そして”人手不足”を挙げる企業が22.4%であった。
・当面の重点経営施策としては“販路を広げる”を挙げる企業が最も多く45.3%、次いで”経費を節減する”を挙げる企業が43.9%、そして“宣伝・広告を強化する”を挙げる企業が21.0%であった。
<卸売業>
卸売業 | 業況判断 D.I. |
売上額 判断D.I. |
収益判断 D.I. |
---|---|---|---|
R5/9 | -5.6 | 0.8 | -7.3 |
R5/12 | -0.8 | 15.2 | 5.6 |
R6/3 予測 | -0.8 | 4.8 | 1.6 |
・当期業況判断D.I.は▲0.8(前期比+4.8)、当期売上額判断D.I.は15.2(同+14.4)、当期収益判断D.I.は5.6(同+12.9)といずれも改善した。
・来期予想は、業況判断D.I.は▲0.8(当期比±0)、売上額判断D.I.は4.8(同-10.4)、収益判断D.I.は1.6(同-4.0)となった。
・経営上の問題点として”売上の停滞・減少”を挙げる企業が最も多く39.2%、次いで”同業者間の競争の激化”を挙げる企業が24.8%、そして”利幅の縮小”を挙げる企業が18.4%であった。
・当面の重点経営施策としては“販路を拡げる”を挙げる企業が最も多く70.4%、次いで“経費を節減する”を挙げる企業が44.8%、そして“人材を確保する”を挙げる企業が13.6%であった。
・来期予想は、業況判断D.I.は▲0.8(当期比±0)、売上額判断D.I.は4.8(同-10.4)、収益判断D.I.は1.6(同-4.0)となった。
・経営上の問題点として”売上の停滞・減少”を挙げる企業が最も多く39.2%、次いで”同業者間の競争の激化”を挙げる企業が24.8%、そして”利幅の縮小”を挙げる企業が18.4%であった。
・当面の重点経営施策としては“販路を拡げる”を挙げる企業が最も多く70.4%、次いで“経費を節減する”を挙げる企業が44.8%、そして“人材を確保する”を挙げる企業が13.6%であった。
<建設業>
建設業 | 業況判断 D.I. |
売上額 判断D.I. |
収益判断 D.I. |
---|---|---|---|
R5/9 | 2.8 | 5.9 | 1.9 |
R5/12 | 5.4 | 10.7 | 7.0 |
R6/3 予測 | 3.7 | 7.4 | 4.1 |
・当期業況判断D.I.は5.4(前期比+2.6)、当期売上額判断D.I.は10.7(同+4.8)、当期収益判断D.I.は7.0(同+5.1)といずれも改善した。
・来期予想は、業況判断D.I.は3.7(当期比-1.7)、売上額判断D.I.は7.4(同-3.3)、収益判断D.I.は4.1(同-2.9)といずれも悪化すると予測された。
・経営上の問題点として”材料価格の上昇”を挙げる企業が最も多く30.6%、次いで”売上の停滞・減少”を挙げる企業が30.4%、そして”人手不足”を挙げる企業が26.7%であった。
・当面の重点経営施策として”販路を広げる”を挙げる企業が最も多く57.4%、次いで“経費を節減する”を挙げる企業が56.6%、そして“人材を確保する”を挙げる企業が20.7%であった。
・来期予想は、業況判断D.I.は3.7(当期比-1.7)、売上額判断D.I.は7.4(同-3.3)、収益判断D.I.は4.1(同-2.9)といずれも悪化すると予測された。
・経営上の問題点として”材料価格の上昇”を挙げる企業が最も多く30.6%、次いで”売上の停滞・減少”を挙げる企業が30.4%、そして”人手不足”を挙げる企業が26.7%であった。
・当面の重点経営施策として”販路を広げる”を挙げる企業が最も多く57.4%、次いで“経費を節減する”を挙げる企業が56.6%、そして“人材を確保する”を挙げる企業が20.7%であった。
<小売業>
小売業 | 業況判断 D.I. |
売上額 判断D.I. |
収益判断 D.I. |
---|---|---|---|
R5/9 | -6.3 | 8.1 | 3.6 |
R5/12 | -2.2 | 9.4 | 5.8 |
R6/3 予測 | -4.5 | 0.9 | -0.4 |
・当期業況判断D.I.は▲2.2(前期比+4.1)、当期売上額判断D.I.は9.4(同+1.3)、当期収益判断D.I.は5.8(同+2.2)といずれも改善した。
・来期予想は、業況判断D.I.は▲4.5(当期比-2.3)、売上額判断D.I.は0.9(同-8.5)、収益判断D.I.は▲0.4(同-6.2)といずれも悪化すると予測された。
・経営上の問題点として”売上の停滞・減少”を挙げる企業が最も多く41.1%、次いで”同業者間の競争の激化”を挙げる企業が24.6%、そして”人手不足”を挙げる企業が16.5%であった。
・当面の重点経営施策としては“経費を節減する”を挙げる企業が最も多く61.2%、次いで“品揃えを改善する”を挙げる企業が28.1%、そして“宣伝・広告を強化する”を挙げる企業が22.3%であった。
・来期予想は、業況判断D.I.は▲4.5(当期比-2.3)、売上額判断D.I.は0.9(同-8.5)、収益判断D.I.は▲0.4(同-6.2)といずれも悪化すると予測された。
・経営上の問題点として”売上の停滞・減少”を挙げる企業が最も多く41.1%、次いで”同業者間の競争の激化”を挙げる企業が24.6%、そして”人手不足”を挙げる企業が16.5%であった。
・当面の重点経営施策としては“経費を節減する”を挙げる企業が最も多く61.2%、次いで“品揃えを改善する”を挙げる企業が28.1%、そして“宣伝・広告を強化する”を挙げる企業が22.3%であった。
<不動産業>
不動産業 | 業況判断 D.I. |
売上額 判断D.I. |
収益判断 D.I. |
---|---|---|---|
R5/12 | 4.5 | 4.5 | 4.5 |
R5/12 | 4.4 | 7.8 | 5.6 |
R6/3 予測 | 5.6 | 6.7 | 5.6 |
・当期業況判断D.I.は4.4(前期比-0.1)、当期売上額判断D.Iは7.8(同+3.3)、当期収益判断D.I.は5.6(同+1.1)となった。
・来期予想は、業況判断D.I.は5.6(当期比+1.2)、売上額判断D.I.は6.7(同-1.1)、収益判断D.I.は5.6(同±0)となった。
・経営上の問題点として”商品物件の不足”を挙げる企業が最も多く25.6%、次いで”同業者間の競争の激化”および”売上の停滞・減少”を挙げる企業が17.8%であった。
・当面の重点経営施策としては“販路を広げる”を挙げる企業が最も多く36.7%、次いで“経費を節減する”を挙げる企業が31.1%、そして“情報力を強化する”および“宣伝・広告を強化する”を挙げる企業が21.2%であった。
・来期予想は、業況判断D.I.は5.6(当期比+1.2)、売上額判断D.I.は6.7(同-1.1)、収益判断D.I.は5.6(同±0)となった。
・経営上の問題点として”商品物件の不足”を挙げる企業が最も多く25.6%、次いで”同業者間の競争の激化”および”売上の停滞・減少”を挙げる企業が17.8%であった。
・当面の重点経営施策としては“販路を広げる”を挙げる企業が最も多く36.7%、次いで“経費を節減する”を挙げる企業が31.1%、そして“情報力を強化する”および“宣伝・広告を強化する”を挙げる企業が21.2%であった。
【令和5年12月調査】 にししん景気動向調査 追加質問 「賃上げの実施状況について」
問1. 今年度、賃上げを実施しましたか。
⇒全体の約4割(864社)の事業者が「賃上げを実施した」と回答された。
問2. 問1で「実施した」と回答した方にお聞きします。賃上げはどのような形で実施しましたか?(複数回答可)
⇒実施された賃上形態については、「昇給等による引上げ(定期昇給)」が最も多く、「全社員一律に引上げ(ベースアップ)」、「賞与や一時金の増額」と続いた。
問3. 問1で「実施した」と回答した方にお聞きします。どの程度賃上げを実施しましたか?
⇒賃上率については、「3%未満」が約8割を占め、「3%以上5%未満」が約2割と続いた。
問4. 問1で「実施していない」と回答した方にお聞きします。賃上げを実施しなかった理由をお選びください。(複数回答可)
⇒賃上げを実施しなかった理由については、「現在の給与水準が適切なため」が最も多く、「景気の先行きが不安である」、「今の収益構造では原資がない」と続いた。
問5. 賃上げをする目的についてどのようにお考えですか?(賃上げをしていない場合もお答えください)
⇒賃上げをする目的については、「社員のモチベーション向上のため」が約半数を占め、「物価上昇への配慮」、「人材確保のため」と続いた。
問6. 今後、賃上げを実施する予定はありますか。
⇒今後の賃上げの実施予定は、「検討する」が最も多く約7割を占め、「実施する(来年度、次期未定)」が約2割と続いた。